図書館と子育て支援施設の行政視察

柏市議会では年に1度、常任委員会単位で他の自治体に訪問し、その先進事例を学ぶ行政視察があります。

今回、議員となってから2回目の行政視察ですが、所属する「教育子供委員会」の視察団として、「愛知県一宮市」と「大阪府茨木市」を1泊2日で訪問してきました。

★愛知県一宮市

まずは愛知県一宮市にある「一宮市立中央図書館」です。こちらは2013年に開館していますが、一番の特徴としては「駅徒歩0分!」で、尾張一宮駅の駅ビル内に立地している事です。

当然、その利便性で利用者は多く、2013年以前に中心的な存在であった図書館が年間63万点ほどの貸出点数であったのに対し、

直近では倍増の120万点ほどの貸出点数となっているとの事です。

ちなみに柏市立図書館は令和5年度の実績で貸出点数175万点、総利用者数は54万9千人ですが、

仮にそごう跡地の再開発に伴い駅前に移転する事があれば、同じように貸出点数や利用者が増加する可能性は高いと思われます

(仮のお話であり、現状の柏市プランにはありません)。

参考)柏市立図書館年報令和5年度版

https://tosho.city.kashiwa.lg.jp/about/PDF/hakkou/nenpou/R5nenpou.pdf

話がそれましたが、一宮市立中央図書館の各フロアは以下の通りに対象とコンテンツを分けて展開しています。

5階:児童(未就学児~小学6年生)向けでじゅうたんコーナーや、児童向け学習室など。

6階:一般向けで、一般書のほかに新聞・雑誌コーナー、AVブース、対面朗読室、学習室など。

7階:各種ビジネス資料・情報を活用できるコーナー、郷土資料など調査・研究機能を持つフロア。

今回の視察で「一宮市立中央図書館」を選んだ理由のひとつとしては、柏駅東口に新しくOPENした

子ども・子育て支援複合施設「TeToTe(てとて)」のベンチマーク調査があります。

現在、TeToTeは1階から3階まで開設済ですが、今後、12月をめどに4階の「こども図書スペース」と

5階の「中高生世代の居場所」を順次開設する予定が残っています。

従って今回の視察では、先行事例である一宮市立中央図書館がどのような対象とコンテンツでフロアを分け、

具体的に各世代でどのような利用シチュエーションの違いや傾向があるのか?等について確認させて頂きました。

特にTeToteの場合、未就学児~高校生の中間に位置する「中学生」あたりの対応がポイントだと考えてますが、

一宮市立中央図書館の場合、年代別の傾向で見ると中学生に対する本の貸出点数は比較的に少なく、

どちらかというと本というよりも場所で、試験勉強等での来館が多いというご担当者様からの回答を得ました。

今後、TeToTeのフロア展開などの参考としていきます。

★大阪府茨木市

2日目は大阪府茨木市に昨年11月にオープンした文化・子育ての複合施設「おにクル」です。

柏市でいうと、アミュゼ柏と中央図書館とパレット柏とTeToteを統合したような大型複合施設。

開設後5か月の来館者は80万人を突破しており、このままいくと年間の来館者数は150万人を超え、

全国トップ10に入るテーマパークレベルの来場者数という事になります。

施設としては1階から7階まで細部までこだわった施設が並んでおり、特に2階の子育て支援のフロアには、

こどもの遊び場に併設して「健診室」があり、ここでは幼児などを見守って貰いながら、ママさんが健康診断を受けられる仕組みがあるそうです。

私も12月議会で「健康診断時の乳幼児一時預かり」というタイトルで子育て中女性が健康診断を受けられる環境の向上を提言しましたが、

まさしく複合施設ならではの展開を素晴らしく感じました。

本当に1階から7階まで素晴らしい施設でしたが、素晴らしすぎるが故に、気になるのはそのお値段と開設までのプロセスです。

聞いてみたところ、総工費は150億円との事で、柏市で今話題となっているそごう跡地買収の86億円よりも大きい財政出動という事になり、

恐らくは市民からも議会からも賛否両論あった事と想像します。

ですが素晴らしいと感じたのは、その意思決定のプロセス段階において市民向けワークショップを複数回開催し、

幅広い周知と段階的な合意形成をはかりながら進めてきたとの事でした。

ここ最近の柏市では、近隣センターのリニューアル時においても市民向けワークショップなどを展開し、地域の声を拾い、

幅広い合意形成をはかりながらの展開が進みつつあります。

柏駅東口や小中一貫校の件もそうですが、結果、おにクルを開設させた茨木市の合意形成プロセスには

学ぶところが多いと感じましたので、今後も注視していきたいです。

★全体を通じて

今回は前回の視察に比べて、図書館や複合施設の現場を巡りながらの行政視察ができたこと、

並びに私自身も2回目で、事前の調査や仮設設定を行ったうえでの現地調査(仮説の検証)が出来たので、とても有意義でした。

今回の学びは、TeToTeの運営、並びに今後の公共施設開発に十分にいかしていきます!

※写真はすべて「おにクル」です。

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